上仕子とは、仕上げに使う鉋(カ ンナ)のこと。鉋は表面を平滑にする道具だが、鋸(ノコギリ)で挽いただけのザラザラな面に、一番最初に用いる鉋を、荒仕子(あらしこ)(鉋)と呼ぶ。次には中仕子(ちゅうしこ)を使い、最後に使われる鉋を上仕子もしくは合せ(鉋)①とよぶ。
大鋸(オオガ)や釿(チョウナ)などで加工した面は、凸凹が激しく、まず鬼荒仕子(おにあらしこ)鉋や荒仕子鉋でおおむね平滑にする。順次、鬼荒仕子、荒仕子、中仕子、上仕子鉋とつかって、平滑さを上げていく。4者の構造に違いがあるわけではなく、鉋の仕立てに違いがあるだけである。
凸凹の激しい面では鉋が取り付きにくいので、刃をたくさん出して引くことになる。しかし、刃がたくさん出ると、鉋を引くには大きな力が必要になる。そのため、鬼荒仕子や荒仕子は鉋幅の狭い6分鉋(刃幅が1寸6分=48ミリ)をつかって、下図のYとZだけが付くように、他の部分を大きく削り取って仕立てた。鬼荒仕子や荒仕子で削った面は、平滑さが充分ではない。
次に、刃幅が広い8分鉋(1寸8分=55ミリ)のXYZの3点を平面にして、他を削り取った中仕子をつかって平滑さを上げる。最後に、XYZの3点を平面にして、他の部分の削りを少なくした上仕子を使って、完全な平面を出した。
3種類もしくは4種類の鉋を使うことによって、能率の追求と体力の消耗防止を両立させた。電気鉋が普及してからは、鬼荒仕子と荒仕子は電気鉋に取って代わられた。
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