大鋸は縦挽き鋸(のこぎり)の古い名。
現在では木材の繊維を直角に切る横挽き鋸も、平行に切る縦挽き鋸も、ともに鋸というが、昔は縦挽き鋸は大鋸と呼んで区別した。前挽き、もしくは前挽き大鋸ともいう。
縦挽き鋸は、鋸刃の1本1本が鑿(のみ)のような形をしている。製材に使われた大鋸と呼ばれる木挽き鋸は、鑿条の刃先に<チョンガケ>がついて、軽く引けるように工夫されている。
製材を専門にする職人を木挽きとよび、大鋸はもっぱら木挽き職がつかった。
下の写真のような大鋸は、現在の鋸とちがって、鋸板全体には焼きが入っておらず、刃の部分だけ焼き入れされている。目立てにより刃が摩滅してくると、刃の部分だけ焼き入れし直した。
鋸の幅が狭くなってくると、背のほうに鉄板を継ぎ足していった。また、大きな丸太のときは、柄の部分に鉄板を継ぎ足して首を長くした。
製材機の普及により、ほぼ絶滅した。しかし、巨大な木材は製材機にのらないため、いまでも大鋸によって製材されている。木挽きは製材専門の職人で、大工と木挽きは、別の職種である。
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