真物の幅広天井板を使うと、湿度の変化に応じて伸縮したり暴れたりする。重ねた部分が反ったりしないように、2材を連結するための小さな木もしくは竹の細工を稲子という。
稲子は片方の板にだけ固定されて、相手方の板は上から押さえているだけなので、幅が伸縮しても外れることがない。稲子をつかった場合、錐で一回り大きな穴をあけた上で、天井板を釘打ち固定しないと、釘の部分から板割れする。
天井板の両方に細工をしたものを本稲子、片方に接着したものを付け稲子といい、金物をつかった場合は金物稲子と言った。
ベニヤの貼り物やプリント合板が、主流になってしまったので、板の伸縮を考慮する必要がなくなり、稲子をつかう仕事は絶滅した。
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理工学社刊「建築の造作図集」から
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